173コラムがん検査
内科医が解説:本当に必要な人間ドックの検査項目とは
近年、人間ドックの検査項目は増加の一途をたどっています。しかし、すべての検査が必要不可欠というわけではありません。本記事では、内科医の視点から、実際に意味のある検査と、費用対効果の低い検査について解説します。
■意味が薄いと考えられる検査項目
1. 腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、がんのスクリーニング検査として人気がありますが、
実際には以下の問題があります:
・偽陽性が多い(がんでなくても陽性になることが多い)
・早期発見には不向き
・不必要な不安を煽る可能性
2. MRI検査
・費用が高額
・スクリーニング検査としては費用対効果が低い
・緊急性の低い場合は、必要に応じて個別に検査を行う方が効率的
3. バリウム検査
・被ばくのリスクがある
・内視鏡検査の方が正確な診断が可能
・検査による負担が大きい
4. PET検査
・非常に高額
・早期がんの発見には不向き
・費用対効果が低い
■追加すべき推奨検査項目
1. 頚動脈エコー
・動脈硬化の程度を評価可能
・脳卒中リスクの予測に有用
・痛みがなく、被ばくもない安全な検査
・比較的安価
2. 腹部エコー
・肝臓、胆のう、膵臓などの状態を確認可能
・脂肪肝の診断に有用
・繰り返し検査が可能
・安全で負担が少ない
■効果的な人間ドックの選び方
1. 年齢や性別に応じた選択を
20-40代:生活習慣病の早期発見に重点
50代以降:がんスクリーニングも考慮
2. 家族歴を考慮
特定の疾患の家族歴がある場合は、関連する検査を重点的に
3. 費用対効果を検討
高額な検査は、本当に必要か医師に相談
4. 定期的な受診を重視
単発の高額検査より、定期的な基本検査の方が有効
■まとめ
人間ドックは「量」ではなく「質」が重要です。年齢や健康状態に応じて、本当に必要な検査を選択することが、効果的な健康管理につながります。検査項目の選択に迷った場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。