認知症について
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BPSD(周辺周囲症状:介護拒否や通院拒否・暴力など)やせん妄・パーキンソン症状による歩行困難などで通院が困難な場合は、往診・訪問診療で対応しますので、お気軽に相談ください。※
※訪問できる範囲は訪問診療の地域に限りますのでご了承くださいませ。
当クリニックでは、コウノメソッドを参考に治療を心がけております。コウノメソッドとは、名古屋フォレストクリニック河野先生が考案した手法です。認知症の分類を行ったうえ、症状に見合った処方をできる限り少量の薬剤で治療する治療体系です。処方哲学としては、介護者優先主義。介護者を救わなければ患者も救われません。
薬は足していくことよりも、引き算の方が認知症の場合、うまくいくことが多いと感じております。いま処方されている内服で、お悩みがある方は、ご相談ください。
コウノメソッド実践医として患者さんとご家族に満足いただけるように日々診療をがんばっております。現在ADAS-Jcog,BEHAVE-Aなどの検査も併用し、治療の効果の“見える化”に取り組んでおります。コウノメソッドによる認知症治療により、笑顔の患者さん・介護者の方が増えたことが、治療の支えになっております。
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コウノメソッド実践医になるまで
大学病院で血液内科・消化器内科・内分泌代謝内科に所属していたわたくしが、どうして認知症の診療を行うようになったのか。
わたくしの祖母も、20年ぐらい前になりますが、交通事故後に夜間せん妄と認知症を併発し、両親や親せき一同が交代で介護していました。
そのころは、研修医として大学病院の高度救命救急センターで16日間連続当直していたりと、多忙な日々を過ごしており、両親から時々祖母の介護の大変さの話を聞いていた程度でした。当時は訪問診療や介護保険の制度がまだ制度化していない頃でもあり、患者家族が看るか病院に入院するしかありませんでした。また、認知症の薬自体があまりなかったこと、診断と治療自体が普及していないこともあり、あまり積極的に治療は行われていませんでした。わたくしは、大学病院を医師10年目を機に退職し、前職のクリニックにお世話になりました。在職中に訪問診療の業務を任されました。そこで、出会った数々の患者さんの一人に、忘れがたい認知症の方がいました。
その患者さんは、他の病院から紹介になった方で、高齢で食事もろくにできず、家で看取りたいとの家族の要望での訪問診療の導入でした。病院ではいろいろと検査をされておりましたが、特に異常はなく、老衰と。
そうは言われても、大学ではずっと“病気と戦う医療”しかしてきていないので、ただ流れに身を任すようなことができず、何とかしてまたご飯が食べさせてあげたいと、いろいろ調べ上げたのですが、間に合いませんでした。
そののちも困ったことが多く、勉強を続けておりましたが、なかなか認知症のわかりやすい教科書がなく、四苦八苦していたところ、コウノメソッドに出会いました。コウノメソッドとは、端的に言うと、名古屋フォレストクリニック院長の河野先生が、一般内科医が安全に認知症の治療を行えるように、診断を体系化し、使用できる薬と量を絞り、随時知見をアップデートされているものです。コウノメソッドにより、認知症専門医や神経内科専門医でなくても、臆することなく診療に取り込めるようになりました。
現在までに全国に手掛けている先生が多数いらっしゃいます。また、認知症治療研究会に所属し、認知症治療の勉強を続けております。
認知症について
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病気を理解するために必要なのは病理組織ではなく、病気の性質です。治療に重要なのは、どのような障害を負っているかであって、何によって障害されているかではないのです。それは、現代医療ではまだ十分な解明ができていないこと、病理組織に対応する治療がないからです。
それぞれの病気の違いは、のちほど典型例を示しますが、病因が異なっていたとしても、脳のどこに病巣の中心になっているかによって病気の性格が変わります。前頭葉(考える部分)か後頭葉(視覚に関係する部分)と側頭葉(聴覚などに関係する部分)が障害を受けるかによって、変わります。 -
アルツハイマー型認知症
一番患者数が多いので、想起しやすい病気です。
主な症状
- 道に迷うようになったり
- お金のお支払いが難しくなり、いつも1万円札を出すようになったり
- 言い訳が多くなったり
- 同じものを何度も買ってきたり
- 被害妄想が出たり(お金を盗られたなど)
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脳血管性認知症
脳梗塞などが原因で発症するタイプ。高血圧など生活習慣病による動脈硬化が原因となります。
主な症状
- 意欲の低下
- 料理を作るようなものごとを計画し、順序だてて実行することができなくなる
- 笑い上戸・泣き上戸・怒りっぽいなど感情失禁がある
- 考える時間が長い
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レビー小体型
主な症状
- パーキンソン症状(体の傾きや動きが緩慢になったり、手足の震え、小刻み歩行、顔つきが能面のように表情が乏しい)
- うつ症状(落ち込みや無関心)であったり
- 薬に対する過敏性であったり
- 一日中ないしうつらうつらと傾眠
- 子供や動物が見える幻視
パーキンソン症状があるので、ある種の抗認知症薬を使うと症状がぐっと悪くなります。また、薬剤過敏性があるので、脳や神経に働く薬は投与量も通常量よりもかなり減らして慎重に使う必要があります。また、うつ病のような症状も併せ持っているので、食欲低下や便秘(パーキンソン症状でもある)なども併せて出てきます。
幻視は見えるだけで聞こえはしません。壁に向かって話しかけていたりすることがありますが、音が聞こえているような発言があれば、妄想です。
それぞれの症状に応じて、薬の増減が必要になります。レビースコア (コウノメソッドより抜粋)
( )は満点、迷ったら半分を加点してみてください。
- 市販の風邪薬などが効きすぎたということはないですか(抗生剤薬疹を除く)(2)
- 幻覚が過去に1度でもありましたか(2) 妄想が続いていますか(1)
- 意識を失ったことはありませんか(てんかんを除く)(1)
- 夜中の寝言はありますか。過去にも。ぼそぼそ(1) 叫ぶほど(2)
- 食事中むせますか。嚥下性肺炎(1)、ときどきむせる(0.5)
- 趣味もないほどすごく真面目でしたか(1)かなり真面目(0.5)
- 昼間かなりうとうとしますか(1)、寝てばかりですか(2)
- 安静時に手が震えていませんか(1)
- ひじを曲げるときに歯車のような抵抗がある(2)、鉛を曲げるときのような抵抗がある(1)、最初だけちょっと抵抗がある(1)
- 体がすわっているときに傾きますか? かなり(2)けっこう(1)
判定16点満点中3点以上で90%以上レビー小体型の可能性があります。
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前頭側頭葉型認知症
ピック病や意味性認知症も同じ分類に入ります。
主な症状
- 物忘れよりも性格変化やおかしな行動をとる。
- 自分勝手な行動が増えたりすることで、社会生活に支障が出る。
- 言葉が出にくくなったり、言葉を聞き取れなくなる。
- 急に怒りっぽくなり、不愛想で無口になる。
- 常同行動といい、同じ動作を繰り返す。
- 時刻表があるかのように一定の動作を順繰り繰り返す。
- 語間代と言ってどもるようなしゃべり方をするようになる
- 甘いものばかり食べるようになる
- 噛まずに飲み込むないし、くちに際限なく押し込む。
典型的には立ったり座ったり繰り返しています。食事も、甘いものばかりを食べるようになったり、ほかの人のおかずをたべてしまったり、かき込むように食べ、噛まずに飲み込むことが増えます。言語の理解が低下することやオウム返し(反響言語)になったり、どもるようなしゃべり方(語間代)が出てきます。意味不明なことを言って会話にならなくなったりします。
ピックスコア (コウノメソッドより抜粋)
( )は満点、迷ったら半分を加点してみてください。
- 意味もなく不機嫌になることが多いですか?(1)
- 最近子供っぽくなっていませんか。イスを回すとか指をなめるとか。診察のときに足くんだり(1)
- 診察のときになかなか座らなかったり、家でウロウロしませんか。落ち着かない様子で。(1)
- ことわざの意味やことわざの続きがいえますか? それぞれ1点 指示した動作ができますか?1点
- 家族の言葉に対して「それはどういう意味?」と聞くことはないですか?(2)
- 鼻歌とか口笛をふくようになったということはないですか? 人が多く集まるところへ 連れてゆくと興奮しませんか?(2)
- (診察)改訂長谷川式スケール 7 点以下(1)
- 家族のおかずを間違って食べることはないですか? 無銭飲食や万引きをしたことがある (1)
- 最近甘いものばかり食べるようになったり、かきこむ様になった(1)
- スイッチが入ったように急におこることはないですか(1)
- 家族の後ろを影のようについてきませんか(1)
判定16点満点中4点以上なら90%以上前頭側頭葉型認知症の可能性があります。
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進行性核上性麻痺
主な症状
- 後方への転倒が多くなり、けがが多くなった。
- 首が後ろに曲がり上半身は後ろにのけぞる。
- 椅子からの立ち上がりが困難になり、ドスンと座る。
- 眼球が上下に動きにくくなるので、足元が見えないので、よくつまづきます。
- 足を左右に開いてあるく。
- 食事でむせやすく、飲み込みにくくなる。
- 考えるのに時間がかかります。(思考遅延)
- 動作や話し方も緩慢になります。
病気の主病巣は中脳であり、それが前頭葉に広がります。
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大脳皮質基底核症候群
皮質症状といって、手足が思うように動かない、手に触ったものをなかなか離せない(把握反射)、会話が成り立たない、空間認識ができないので、まっすぐ歩けなくなったり、ちゃんと椅子に座れません。さらに基底核症状といい、動作が緩慢になり、小刻み歩行がでます。特に片方の足を引きずるような感じです。
病気の主病巣は大脳の頭頂葉と基底核であり、それが大脳全体に広がります。左右どちらかに偏ることが多いです。 -
治る認知症
多くの認知症に合併していることが多い、疾患を下記に挙げます。
単に認知症だから、この薬という考え方では下記の疾患は見落とすでしょう。早い時期であれば、完治することもあります。- 硬膜下血腫・水腫
- 正常圧水頭症
- 甲状腺機能低下症
- ビタミンB1欠乏症
- ビタミンB12欠乏症
- 葉酸欠乏症
- 脳腫瘍
- 低酸素脳症
- 側頭葉てんかん
- アルコール性認知症
クリニックで扱っているサプリメント
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