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糖尿病はコントロールする病気です!(治療編①)

糖尿病は、全身にいろいろな不調を引き起こす糖尿病ですが、治るのでしょうか?結論から言うと、現在の最先端の医療でも直すことが出来ません。将来的に膵頭移植や再生医療で膵臓のβ細胞の再生ができるようになれば、治る可能性が出てきます。多くの2型糖尿病は加齢や長年の生活習慣で膵臓が疲弊して機能不全に陥っている状態で、元には戻れません。だから、一生付き合っていく必要があります。それには、1年に1回の健康診断だけでは無理なのです。なおすことはできなくても、コントロールして、合併症の進行や生活の質(QOL)の低下を防ぐことはできます。

ここで意気消沈している場合ではありません。治りはしませんが、正常と同じ状態”寛解”を維持する患者さんはいます。完解と完治の違いですが、完解は病気の症状がほぼ消失した状態です。治療を中断しても治る可能性もありますが、再発する可能性もあります。再発しないように、治療の継続や定期的な検査が必要です。

最近の研究で英国糖尿病学会(Diabetes UK)などが支援して実施されている「ReTUNE研究」で、肥満のある糖尿病患者が体重コントロールに成功すると、糖尿病が寛解するケースがあることが示されています(し、そのような患者さんは実際に少数ではありますが、私も経験しております。

糖尿病や境界型糖尿病の高血糖状態は、きちんとカーボカウンティングなどの糖質制限を中心とした食事療法や医師の許可が出た時点から運動などの指導を受け、治療の継続をすることで確実によくなります。治療によって一時的に血糖値が下がっても、治療を続け生活を正していなければ、血糖値はすぐまた高くなってしまいます。

空腹時血糖と膵機能の関係

Diabetes Care 2009 Nov; 32(suppl 2): S194-S198.

膵臓の機能は空腹時血糖が正常であっても、低下してきています。健診で血糖が高いといわれた時点で、すでに膵臓の機能は低下してきています。

空腹時血糖が100mg/dlを超えていると、空腹時血糖の80~90前後の時と比べると、その機能はすでに60-70%程度まで落ちています

空腹時血糖と糖尿病の発症率

Endocr J. 2010;57(7):629-37.

また、空腹時血糖値と糖尿病の発症率の関連を調べたところ、糖尿病の発症率は、空腹時血糖値が110mg/dLになる前から上昇し、空腹時血糖値が100〜104mg/dLでは男性で1000人/年あたり10.0人、女性で12.9人に上昇し、105〜109mg/dLで男性1000人/年あたり29.3人、女性では女性31.7人に上昇しているので、空腹時血糖が100を超える人は要注意です。

 

治療は短距離走ではなく、マラソンです。
生活習慣の改善と内服やインスリンなどの治療で血糖値をできるだけ下げて、健康な人と同じくらいに保つことを、“血糖をコントロール”といいます。血糖コントロールをきちんと続けていけば、高血糖によって起こるさまざまな合併症を防ぐことができ、寿命も健康な人と変わりません。つまり、治療は一生続きます。
もし、血糖コントロールができていないと、合併症は気づかないうちにどんどん進行します。また、脱水や免疫力の低下により感染症(肺炎・尿路感染症など)になりやすくなったり、重症化しやすくなったりします。そして合併症は一度発症してしまうと一般的には治療が難しく、進行を抑えることが治療の主な目的となってしまいます。特定健診のおかげで以前ほどではありませんが、気付いたときにはもう取り返しのつかない状態になっていた、という患者さんも今日でも存在します。

糖尿病の患者さんは、癌の発症リスクが糖尿病でない人に比べると高くなるようです。高血糖による好中球遊走能の低下は、感染症に対して弱くなります。さらに、傷口などの修復が遅くなります。癌が増える原因ははっきりしていませんが、高血糖そのものによる酸化ストレスが、発がんに関係する可能性があると言われています。また、2型糖尿病の方では、全身に慢性的な炎症がみられると言われます。慢性の炎症は、発がんのリスクと考えられています。

国内外で発表された研究によると、2型糖尿病の方は、がん発症リスクが20%ほど高いことが報告されています。日本人では特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高いとされています。糖尿病の方は毎年癌検診をしましょう。